最近2回にわたり日本人が世界からどんなに素晴らしいかを書いてきました。今月の平電機新聞では、私たち日本人がどうやって今後10年いけていけばよいのかを書いてみたいと思います。

当社は製造業です。円高や空洞化により年々日本の中小企業はその数を減らしています。今後我々はどのようにしたら生き残れるのでしょうか?職業を分類して、今後残れる職業か残れない職業かを書いた本「10年後に食える仕事 食えない仕事」を読んでみました。

著者の渡邉正裕氏は縦軸をスキルタイプ(技能集約的から知識集約的)、横軸を日本人メリット(小から大)として職業を4つのカテゴリーにわけました。(1)重力の世界(日本人メリットが小さく、スキルも知識集約的ではない)、(2)無国籍ジャングル(日本人メリットが小さいが、スキルは知識集約的)、(3)ジャパンプレミアム(日本人メリットが大きいが、スキルは知識集約的)、(4)グローカル(日本人メリットが大きく、しかもスキルも知識集約的)です。

まず(1)の重力の世界について書いてみます。このカテゴリーの職業はコールセンターのスタッフ、プログラマー、検査・組立工、汎用品のメーカー開発者、警備員、タクシードライバーなどが入ります。簡単に言うと技術力があまり必要ではなく、日本人でなくてもできる職業です。この職業は簡単に日本人以外に置き換われるため、値段が重力に引っ張られるがごとく下がってきます。現に最近私のパソコンが故障しコールセンターへ電話すると大連にいる日本語がしゃべれる中国人につながりました。日本にいる日本人をコールセンターのスタッフにするよりよっぽど安いため、大手メーカーではコールセンタースタッフの海外展開は当たり前になっています。そうでないとパソコンをこんなに安くはできませんよね。






無国籍ジャングルでは日本人でなくても能力がある人が生き残る世界です。職業の例としてはパイロット、国際弁護士、ファンドマネージャー、建築家やデザイナーといったアーティストです。誰もパイロットの国籍を気にして飛行機に乗りませんよね。経験と腕があり、安全に飛行してくれればどの国籍の人でもかまいません。また、ファンドマネージャーのようにお金を預かって増やす人も実力があればどの国籍でもかまいません。昔、中国のトウ小平が改革開放を推し進める時に「白い猫でも黒い猫でもかまわない、鼠を捕るのが良い猫だ」と言いましたが、このカテゴリーの職業も白人だろうが黒人だろうが、実力がある人が成功する世界だといえます。




ジャパンプレミアムの職業は日本人だと言うだけでそれほどスキルが無くても生きていける職業のことです。たとえば公務員、住宅営業、芸人、日本料理人、旅館の女将やホテルマンなどです。渡邉氏の考えでは日本人ということだけでメリットが多いといいます。公務員は日本国籍の人しかなれません(一部、地方公務員は違いますが、現状は地方公務員もほぼ100%日本人です)。住宅営業などの場合は、一生の買い物である家を買う場合日本語の堪能な外国人の営業マンと日本人の営業マンではやはり日本人から購入したいと考えるはずです。外国の人だといつ本国へ戻るかわからないといった不安があり、家は何十年と住むものですから、長くアフターサービスをしてくれそうな人から購入したいと思うのが普通だと考えます。他にも芸人や日本料理などは日本で生まれ育たないとなかなか身につかない文化の世界です。知識集約的スキルが無くても生き残れる職業となるわけです。





最後のグローカルのカテゴリーの職業は医者や弁護士、記者、税理士などです。スキルがあり、日本人であるメリットが大きい職業といえます。生死を決める手術などは日本人の医者だと心なしか安心するのではないでしょうか?同じ症状を伝えるのにも言い方によって患者も受け取り方が違います。弁護士も同じです。法律はグレーゾーンが多く、裁判官や陪審員に旨く説明できるには法的知識の他に言いまわしなどが必要となります。その微妙な言いまわしは日本文化がわからないと厳しいかもしれません。



我々製造業はどの部類に入るのかと考えると(1)の重力の世界です。日本人でなくてもできると言う理由で海外に仕事は流れていき、単価は重力に引っ張られるがごとく下がっていきます。この本によれば日本人の72.5%はこの重力の世界に属すると言っています。10年後、20年後を考えて我々は行動を起こさなくてはと強く思いました。