昨日の続きです。

 労働基準監督署の改革についてですが、今の制度自体が取り締まりを主とした制度になっていないのです。

 基本的に労働基準監督署は、取り締まりではなくて、行政指導を主として行っています。

 立ち入り調査をするときは、いちいち会社に連絡することもあります。

 それだと証拠を全部隠して、社員に口止めさせて終わりでしょう。

 警察は、そんな生ぬるい捜査をしていません。もちろん、最初から立件する気がない、起訴まで行かない事件なら、そういうことはあります。

 起訴できない告訴事件を受理して仕方なく捜査する時です。

 そういう場合は、被害者の味方ではなくて被疑者の味方なんですけどね。

 今回、民間委託と言う事ですが、お願いする社労士に対して公務員と同じような手当てを支給するのでしょうか?

 それにより全然違ってきます。生活保障をできるかどうかが問題です。

 なぜなら、社会保険労務士は、お金をたくさんくれる方に味方するからです。そして、それは、残念ながら個人ではなくて企業です。

 社会保険労務士も公務員ではない民間人である限り、完全に中立になる事はできません。

 また、捜査に関しても社労士は完全な素人です。民間で刑事罰まであたえる刑時事件の捜査ができるとは、到底思えません。

 どの書類を収集して、どんな供述を取ればいいのかということは、捜査を専門的にやってきた人なり組織でなければ無理です。検事との連携も必要です。

 でなければ、不起訴(起訴猶予ではない嫌疑不十分嫌疑なし)を連発することになります。

 そう考えると問題点は、たくさんあります。

 この問題については、さらに話が進んでから、また分析して書きたいと思います。

 行政書士田中綜合法務事務所