前回NHKの「メイドインジャパン 逆襲のシナリオ」と言うテレビ番組について書いてみましたが、今回は本のタイトル「2013 メイドインジャパンの大逆襲」について書いてみたいと思います。

この本はNHKの「メイドインジャパン 逆襲のシナリオ」の事も書かれていたことからNHKの番組以降に出版された本です。信州大学経済学部教授の真壁昭夫氏が書かれたこの本には日本企業が陥落した原因が書かれています。

ご存知のように資源の無い日本では材料を輸入しそれを加工して海外に輸出して成功をおさめてきました。実際イギリスのエコノミストと言う雑誌に「The Sun Rises」と言われたほど1980年代の日本はすごい物がありました。それが今は見る影もありません。なぜでしょうか?



真壁氏の分析では様々な理由がありますが、一つは政治力があると思われます。私も前から不思議だったのですが、今のコンピューターには「インテル入っている」と宣伝でもお馴染みのインテル社のCPUが入っています。まるでCPU=インテル社と言わんばかりのシェアだと感じます。これは実は1980年代の日本の好景気時代に日米貿易摩擦で怒ったアメリカが1985年日米半導体協議を行った結果、日本は事実上CPUから手を引かなければならなくなったと言うのです。

日本はDRAMと言う汎用性の高い半導体しか製造できなくなり、韓国や台湾の猛攻撃にさらされた事により今の日本のDRAM産業は風前の灯となっています。これは日本政府の外交に問題があるのは明白です。



さらにアメリカがインテル社を押したように、韓国も家電関係ではサムスン社やLG社を、車では現代自動車を国をあげて海外で成功させてようとしていますが、日本は特定の企業のアピールは非常に弱いと言わざるをえません。

日本企業がこのような状態になった原因は国民性の違いにもあります。例えば今やスマートフォンをアップル社と二分する韓国では、徴兵制度があるように今も戦争を念頭に置いて生活しています。軍事的にも経済的にも負けたら国が無くなると言った概念から経済成長も貪欲に国をあげて推し進めています。今の日本で貪欲に成長しようと考える人々はいったい何人いるでしょうか?

同じような事が台湾にも言えます。台湾の人口は2300万人と内需だけでは生きていけない国です。韓国もそうですが、人口が少なく内需だけでは難しいと考えると世界を相手に戦う術を持たなくてはなりません。台湾で急成長している鴻海科技集団(フォックスコングループ)は時代の先端企業の下請けをしながら技術力を高めてきました。かつては日本の電機メーカーの下請けをし、今はアップルの下請けをしています。世界を見据えての事業を考えているので世界で一番旬の企業と接する姿勢は日本企業も見習わなければなりません。

日本企業を窮地に追い込んでいるのは中国企業の台頭もあります。この13億人と言う大国は昔から大規模な国とり合戦を繰り返してきました。今やらなければ明日が無いと言ったハングリー精神の塊の様な国です。ウサギとカメの童話のようにもともと技術的にリードしてきた日本は技術にあぐらをかき消費者のニーズに沿わないガラパゴス化の製品を世に出したりしています。技術的に追い抜かれる日も近いかもしれません。

真壁氏の意見では日本企業の一番悪いところは経営力が無い事だと言っています。強力な意思決定ができない経営者は臨機応変に対応できず、この荒波の世の中を生き残れないのが現状のようです。私も経営者として耳が痛いところです。生物学では強くて大きい生物が生き残るのではなく、環境に一番適合している生物が生き残ると言われています。会社も同じではないでしょうか?



日本が復活するには「現場力」だと真壁氏は言います。言い換えれば日本が得意としている微細なモノづくりと高度な組み合わせ力をうまく使いイノベーションを起こすことだと言います。あのiPhone5の部品の50%が日本企業の部品で作られている事でもわかるように日本の技術はまだまだ凄いといえます。その「現場力」を活用し日本企業が復活できるように祈ります。